今回の記事では、急性期を3年経験して感じたメリットやデメリットについてお話ししていきます。
私は今の病院に来るまでの3年間、大学病院の急性期で3年過ごしていました。かなり忙しく、想像を絶する残業の中で学べたこともあります。
合計残業時間2000時間は、なかなか経験できることではありません。
辛かったですが、この経験を活かしてメリットやデメリットについて説明していきます。
・急性期で働いている方
・辞めようか悩んでいる方
・急性期に就職したい方
参考にしてください。
目次
急性期のメリット5選

月の残業は70〜100時間、合計2000時間の残業。本当に辛かったです。
そんな辛かった急性期時代でも、今振り返るとメリットもあったので紹介していきます。
・情報収集能力のアップ
・アセスメントができるようになる
・急変に対応できる能力が身につく
・多重課題がこなせる
・診療の補助ができるようになる
以上5つのメリットがありました。実体験を基に細かく説明していきます。
情報収集能力のアップ
急性期の特徴として、重症な患者が数多くいます。一つの疾患だけではなく、既往歴など多くの視点で見なければならないので、情報収集能力がアップすることができました。
バイタルサインの変化も著しく、日内変動も毎日あります。朝の尿量は?血圧の変化は?点滴はなに使っている?
たくさんの視点も持って患者さんを接するため、必要な情報を、迅速かつ正確に情報収集する能力は身につけることができます。
3年間続けるのはかなり辛かったですが、この能力は今でも役に立っています。
転職先では、ゆっくりと情報収集ができているので、より深く患者を見ることができていると認められ、指導者まで成長することができました。
アセスメントができるようになる
先ほど、情報収集能力がアップするというお話をしたと思いますが、情報収集するだけでは意味がないのが看護の世界。
得た情報を使って、考えて看護していかなければなりません。
その能力は、特に急性期では大切になってきます。自分が見逃した観察項目によって、急変してしまう可能性もあり得ますからね。
変化が著しいので、今患者はどんな状態?というのを常に考えて行動するため、「なぜ?」の視点を持って行動することができます。
これを毎日繰り返すわけですから、アセスメント能力が自然と身についていきます。
処置や点滴、その他の看護はエビデンスを持って行う必要があります。
エビデンスを持つためには、アセスメントをしなければならない。
急性期では、その能力が身につきます。
急変に対応できる能力が身につく
重症な患者が数多くいる急性期には、急変がつきものです。
新人の初めの頃は当たらないかもしれませんが、他の病院よりは急変に当たる確率は確実に高いです。
その時、咄嗟に対応できる能力を身につけることができます。何度も当たるので、先輩の真似をしたり、振り返っているうちにできるようになるものです。
急性期だろうと、慢性期だろうと「急変」は起こりますので、対応できる能力は役に立っています。
急性期では急変の頻度が多いので、何度も経験することができます。その分、残業も多くなってしまいますが。
急性期のスケジュールについてまとめた記事でも紹介していますが、急変対応するだけで、業務がかなり押すので帰るのは22時になることもあります。

多重課題がこなせる
急性期はとにかく忙しい。
同じ時刻に処置が重なることなんて日常茶飯事です。これが「多重課題」
処置が重なっていたとしても、看護師の数は一人です。その為、どの処置を一番最初に行うのか、優先度を考えて動いていく必要があります。
これが難しいのですが、アセスメント能力が上がるにつれて、優先度も考えられるようになります。
誰かにお願いするのか、30分遅らせても大丈夫なのか、その時の患者の状態は安全か?
これらのことを瞬時に考え、行動する能力が成長します。この能力が身につくと、どこへ行っても通用する看護師になれます。
診療の補助ができるようになる
急性期は、医師の介助が多い。それだけ、重症な患者が多いんですね。
PICCの挿入介助、CHDFの介助、挿管介助などの能力が身につきます。
慢性期にいるとこれらは経験することがないのですが、急性期では経験することができる。看護師の仕事内容の幅が広がります。
部署によってはこの技術を使わないところもたくさんあるので、身につけておいて損はないですが、すごい重要というわけではないです。
診療の補助というわけではないですが、COVID-19の影響に伴い、人工呼吸器を導入している病院が増えてきています。
導入するのは良いのですが、操作できる看護師はどの位いるのでしょうか?
正直言って少ないのが現状。
これも、呼吸器科の急性期にいると簡単に学べることなので、より高度な医療技術が学べるのが急性期です。
急性期のデメリット5選

ここからはデメリットについての紹介です。私の場合、デメリットの方が大きかったので転職しました。
私が実際に経験してきて、辛かったことについて紹介していきます。急性期で学べることもたくさんありますが、そこにはデメリットも必ずあるのでよく考えてください。
・とにかく忙しく、残業が多い
・始業前残業が多い
・給料が見合ってない
・勉強会、研修が多く、休めない
・重患が多く、精神的に辛い
以上の5つです。
もっと細かいのもありますが、病棟によってかなり差があるものなので、メインはこの5つとなります。
今でこそ、ブログを書ける程時間に余裕がありますが、当初は働くことしかできない程辛かったので、自分に合う病院があるものだと感じています。
今が辛い人は、一度転職相談をしてみましょう。すぐに転職しなくても、話だけ聞くだけでも気持ちは楽になります。

とにかく忙しい、残業が多い
急性期の1日のスケジュールは本当に忙しい!
当時「どうやったら残業しないで帰れるの?」と毎日思っていました。
朝の計画立てた時点で、定時内で終われない絶望から始まる業務は辛かったです。
処置、OPE出し、点滴交換などやることが多い。そこに緊急入院は毎日入ってくる。そんな日々を過ごしていると、疲労感がすごいです。
月に100時間残業なんてザラにありましたので、この時間があればもっと色んなことができたのになと今振り返ると思います。
始業前残業が多い
受け持つ患者の数も多ければ、それだけ情報収集をしなければなりません。朝一のOPE出しがあれば、朝早く来て点滴の準備をしなければならない。
その為、始業開始前1時間には病棟についてないと間に合わないんです。先輩方もそうしているから、遅く出勤できないプレッシャーもありました。
始業前残業については、他の職業よりも少し特殊ですね。これは慢性期でもあるでしょうが、急性期においては点滴詰めるだけでも1時間はかかりますからね、朝早く出勤する時間は他よりも多いです。
始業前残業についてまとめた記事がありますが、これを避けるには転職しかないというほとど、急性期では絶対にあります。

朝早く出勤して、帰るのが遅いので身体的にも、精神的にも辛いです。
給料が見合ってない
残業ばかりの毎日、重症患者を対応するストレスフルな社会で頑張っているのにもかかわらず、給料が低い。
始業前残業はもちろんサービス残業。それに加え、月に100時間残業してももらえるのが3000円だったら、すぐ転職して当然ですよね。
私は無意味に3年も耐えましたが、本当に勿体無かったと後悔しています。
夜勤もあり、身体的・精神的に疲労もたまる特殊な職業ゆえに、給料はもらいたいところですよね。
お金が全てではないですが、頑張っている自分への「ご褒美」という意味でも、どうせなら給料が高いところで働きましょう。
転職して給料が上がり、業務も楽になったので今では満足です。
勉強会、研修が多く休めない
私が働いていた病院は大学病院で、教育システムがしっかりしているのもあり、勉強会や研修が多かったです。
他の急性期でも、勉強会等は多いです。
これが多いせいで、業務は押すばかり。残業の繰り返しです。
休日でも、研修に参加しなければプレイベートも削られる。人生を看護師に捧げるのであればそれでも良いのかもしれませんが、人間休まなければ脳が疲れます。
家にいても仕事のことばかり考えなければならない。そんな毎日は耐えれられませんでした。
ONとOFFの切り替えができない程、勉強会や研修に参加しなければならないのは、本当に辛いです。
重患が多く、精神的に辛い
OPE後状態が落ち着かない患者、点滴交換が少し遅れるだけで重体になってしまう患者等とにかく責任重大な環境の中でも業務は精神的に辛いです。
先輩もよく言っていたのですが、毎日緊張していると。
どんなにベテランでも緊張感が高い。
緊張感が高いこと自体は悪くないのですが、責任の重さが他の病院と比較すると高い。精神的にはかなり辛いです。
業務は素早く、なおかつミスのないように。これが毎回と考えると、もっとゆっくり患者と接したいと思います。
まとめ
急性期で働く上で、メリットやデメリットがあります。
アセスメント能力が高くなる、急変対応に強くなるなど看護師として成長できる面もたくさんある中で、残業が多い、給料が見合わない等のデメリットもあるので覚悟をもつことが必要。
私は3年耐えましたが、後で振り返ると辛い毎日を3年も耐える必要なんてないんですよね。
自分に合う病院は必ずありますし、そこには本当の意味で楽しいと思える毎日が待っていました。
あなたは、やりがいを持って働いている看護師を見たことがありますか?
本当に活き活きして働いている人って憧れますよね。
もし今辛い思いをしていて、理想の看護師を見失っているのなら、憧れの看護師になれるチャンスはいくらでもあるので、一歩勇気を踏み出して転職して見てください。