今回は急性期と慢性期の比較についてお話ししていきます。
私は新人からの3年間大学病院の急性期で過ごし、転職して慢性期で3年働いています。それぞれ同じだけ経験したため、良さや悪さなど実体験を基に徹底比較していきます。
自分には急性期が合っているのか?それとも慢性期?
経験していないと分からないことも多いですし、どんな違いがあるのかなんて実際にネットで検索しても詳細なものってないんですよね。そこで、私が経験したことを書いていくので、少しでも皆さんの判断材料になってくれればなと思います。
・急性期、慢性期どちらに就職、転職しようか迷っている方
・どのような違いがあるのか知りたい方
是非参考にしてください。
急性期とは

そもそも「急性期」とは何でしょうか?少し紹介していこうと思います。
急性期病院の「急性期」とは、病気が発症し、急激に健康が失われ不健康となった状態のことを言い、発症後約14日以内が目安とさrています。
そのため、看る患者には重症の方がほとんどで、高度な医療技術・知識を駆使します。
危険な薬剤も使いますし、緊張もかなり高い中で業務を行っていきます。それゆえに処置も多く、残業も多い傾向です。
慢性期とは

次は「慢性期」についての紹介です。
「慢性期」とは、病状は安定しているが、治癒が困難であり、病気の進行は穏やかな状態が続いている時期のことを言います。
そのため、再発の予防や体力の維持もしつつ、退院支援をしていく必要があります。生活習慣病に対しての指導や、リハビリ、その人の今後の生き方を一緒に探すといったことが求めらます。
急性期と比較すると残業は少なく、患者一人ひとりと向き合うことができるのが特徴です。
急性期と慢性期の比較

急性期と慢性期の違いが何となくわかりましたかね?こうして文章にしてみると結構違うんですよね。
私は両方経験しましたので、業務や私生活などどのように変化があるのか比較していきます。
・出勤時間が違う
・残業時間が違う
・点滴の量が違う
・診療の補助が少ない
・他職種連携が多い
・入退院が少ない
・人が優しい
以上7つの違いがありましたので、それぞれ実体験を基に解説していきます。
出勤時間が違う
大学病院の急性期時代は、朝の出勤が7時に病棟に入っていたのに対して、慢性期の今は8時20分です。1時間20分もの違いがあります。この違いは、かなり大きいですね。
朝に1時間20分も余裕があるので、今は読書や勉強、ブログを書く時間に使うことができています。朝早く出勤して、帰りは遅い。これだけでも、体に疲労がかなり溜まりますので、自分の中では大きな変化です。
残業時間が違う
急性期時代の残業時間は月に多い時で100時間です。さらに、その残業代は支給されず、全てサービス残業だったので超絶ブラック病院で働いていたわけです。ここが一番転職するにあたり、大きな決断の理由でした。
慢性期に転職後の今は、月の残業時間は10時間以内で、30分単位で残業代もしっかり出ます。これが普通なのかもしれませんが、当時の自分には天国のように感じました。
次の病院を探している方がこの記事を見ているとしたら、残業代がしっかり出るかどうかしっかり確認しましょう。大きい病院だからといって、完全には信用しない方が良いです。
点滴の量が違う
転職してびっくりした中の一つが、点滴の量が違うことですね。急性期にいる皆様や、経験した方はわかると思いますが、処置室にかかっている点滴の量や、ボックスに入っている量って山のようにあるんですよ。
それが、慢性期だと1/4位です。その日の受け持ち部屋に点滴がない人もいる程少ないんですよ。点滴作るのに40分とか使っていた急性期と違い、慢性期では10分もかからないで終わります。
その分、患者さんとの関わりだったり、退院支援に時間使えます。看護をしているという実感がわきます。
診療の補助が少ない
診療の補助という言い方だとわかりにくいですかね?例えば、CV挿入の介助だったり、挿管の介助など医師の指示の下の処置だったり、介助だったりするものです。
そういったものが慢性期ではほとんどありません。たまにCV入れるくらいはありますが、PCPSに触れることもなければ、Aラインを作ることもありませんからね。食事介助など日常生活の援助が多くなります。
患者と触れ合う、患者が日常生活に復帰する中で何が足りないのかを考えたりすることがメインとなってくるため、急性期ならではの処置がなく、それが残業少ないことにも繋がってきています。
他職種連携が多い
急性期にもリハスタッフとの連携があるのですが、どうしてもカンファレンスの取れる時間が限られてしまうため他職種連携が測れませんでした。
処置やケア、入退院に時間を要し、退院支援は出来ずに退院を迎えることも多々ありました。
それに比較し、慢性期では、PT(理学療法士)やOT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)、MSW(医療相談員)との連携が多く、カンファレンスが多々開かれ、一人の患者に対して多くの他職種が関わることで手厚い退院支援が行えています。
カンファレンスの多さや他職種の連携は、圧倒的に慢性期の方が多いですね。回復期もそうですが、急性期よりも間違いなく手厚いです。そこにやりがいを感じる看護師も多い印象ですね。自分もまた、やりがいを感じて看護できています。
入退院が少ない
当たり前と言ったらそれまでなんですが、急性期と比較すると圧倒的に少ないです。2日間ないこともありますし、緊急入院なんて2週間に1度あるかないかというところです。
入院があったとしても、急性期のように重症な状態で来ないため、ゆっくりと対応することができます。なので、入院業務に時間を取られることもありません。
また、在院日数が長いので、サマリー記載に追われることなく業務することができます。急性期時代では、受け持ち人数が二桁にもなることがあり、サマリ作成で帰れない経験をしていました。それがないだけでも、早く帰ることができます。
人が優しい
これは病棟によって差があるとは思いますが、急性期のピリついた雰囲気ではなく、ゆったりとしているので、先輩看護師も丁寧に指導してくれています。
それでいて怖い人もいないですね。中には、お局の位置で態度がひどい看護師もいますが、大体の看護師は優しい人が多いです。人間関係で悩んでいる人がいたら「慢性期」オススメですね。
まとめ
急性期は入退院が激しく、処置が多い。残業も多いですが、慢性期では患者一人ひとりと接する時間が長く、退院支援に関わる機会が多い。残業も少ない。という違いがあります。
それぞれに違いはあり、学べることもたくさんあります。自分にあっている病院や、看護は何か?考える参考になっていただけたら幸いです。
皆様には、本当に自分に合っている病院を見つけ、充実した看護師生活を送って欲しいと願うばかりです。かつての私のように苦しんでいる人がいたら、迷わず一度相談することをオススメします。
男は絶対急性期!とか、慢性期はつまらないとか、そんな常識はなく、どんな環境であっても、必ず看護師として成長し、看護師になれてよかったと思える瞬間は必ずあります。
現状が苦しいからと諦めず、最適な病院が見つかること、応援しています。
